2012/04/04

野分のまたの日を迎えて

『野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ』

と、清少納言は枕草子で書いている。
『野分』は台風の事。野分のまたの日とは、台風の翌日の事。

昨日の爆弾低気圧は大暴れしながら日本を縦断、
各地で激しい暴風雨をもたらし、交通機関は大きく乱れ
強風の影響で死者も出た。
「非常にしみじみとした趣きがあり、面白いことだ…」
というのはちょっと憚られる気もする。
が、晴れわたった青空と明るい陽の光をみているとやはり清々しい。

昨日の爆弾低気圧は、これだけのすさまじい勢力なら、
もはや『台風』と呼んでもいいんじゃないかと思ったが
念のため気象庁のHPを確認したところ、
どうも発生地域を含め台風の定義からは外れるらしい。

嵐の去った直後は、その爪痕も生々しく痛みも残るが
様々なものが吹き飛ばされ押し流され、スッキリする事もある。
過ぎ去った災厄に安堵し、新しいスタートにちょっと心も弾む。

聞きかじった話によると、西洋占星術的には、
逆行していた水星が今夜あたりから、
同じく逆行していた火星が14日から、それぞれ順行になるらしい。
また、週末には満月。

早い話が、いろんなことがハッキリ・スッキリするみたいだ。
「風が変わる」「流れが変わる」「空気が変わる」
いろんな事がきちんと伝わるようになってくるらしい。

新しい月も始まったばかり。
続けている片づけものを今日も頑張ってスッキリさせて
心の中の『野分のまたの日』をじんわりと楽しもうかと思う。

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『枕草子』平安時代の随筆
 作者:清少納言  
    ※一条天皇中宮・定子(藤原道隆の娘)に仕える。歌人を輩出した清原家の出。
 
野分の又の日こそ、いみじう哀におぼゆれ。
立蔀、透垣などのふしなみたるに、前栽ども心ぐるしげなり。
大なる木ども倒れ、枝など吹き折られたるだに惜しきに、
萩女郎花などのうへに、よろぼひ這ひ 伏せる、いとおもはずなり。
格子のつぼなどに、颯と際を殊更にしたらんやうに、
こまごまと吹き入りたるこそ、あらかりつる風のしわざともおぼえね。

台風の翌日は、実にしみじみと趣深く思える。
立蔀や透垣などが暴風で乱れて倒れかかっている上に、
庭前の植え込みのもひどく痛々しい姿である。
大きな木々も倒れ、枝なども吹き折られたものが、
萩や女郎花などの上に覆いかぶさっているのは、
あまりにもひどいことである。
格子のひとつひとつに、木の葉をまるでわざわざしたように、
こまごまと念入りに吹き入れてあるのは、
荒々しかった風のしわざとは思われない。